はじめに
介護保険の認定結果が届いたとき、あるいは家族の退院日程が決まったとき、「ケアマネジャーはどこに頼めばよいのか」と初めて調べる方は少なくありません。
ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、介護保険サービスを利用する人のケアプランを作成し、本人や家族とサービス事業者の間を調整する専門職です。どのサービスをどのくらい使うか、関係機関にどう連絡するかといった在宅生活の段取りを一緒に考えてくれる存在です。
ひとつ知っておいてほしいのは、ケアマネジャーは市区町村や地域包括支援センターから紹介を受けたとしても、自分で選ぶことができるという点です。紹介された事業所に必ず決めなければならないわけではなく、合わないと感じた場合は変更することもできます。
この記事は、認定の結果が出たものの誰に頼めばよいのか分からない、あるいは退院日程が決まって急いで探している、という状況にある方に向けて書いています。
事業所の体制や対応できる範囲、窓口の名称は地域によって異なり、制度にも改定があります。最終的な確認は各事業所や市区町村の窓口で行う前提でお読みください。
ケアマネジャーを探す三つのルート
ケアマネジャーを探すルートは主に三つあります。地域包括支援センターへの相談、市区町村の窓口での事業所リストの入手、病院の相談員からの紹介です。
| 探すルート | 向いている状況 | 確認しておきたい点 |
|---|---|---|
| 地域包括支援センターへの相談 | 認定を申請したばかりで、どこに頼めばよいか分からない | センターが紹介できる事業所の範囲を確認する |
| 市区町村の窓口で事業所リストを入手 | 自分で比較して選びたい | リストに掲載された事業所の体制は各自で問い合わせる |
| 病院の退院支援担当者・地域連携室からの紹介 | 退院日程が決まっており、早めに動きたい | 紹介されても複数の候補と話してよい |
認定の区分が要支援か要介護かによって、担当する機関が変わる場合があります。要支援と認定された場合は地域包括支援センターが担当窓口になることが多いため、自分がどちらに当たるかを窓口で確認しておくとスムーズです。
紹介を受けた事業所に必ず決めなければならないわけではなく、複数の事業所に問い合わせて比べることができます。退院の日程が決まっている場合は、病院の相談担当者を通じるルートが最も早く動けることが多いです。
併設型と独立型のどちらを選ぶかで何が変わるのか
居宅介護支援事業所には、訪問介護やデイサービスといった他の介護サービスを同じ法人内に持つ併設型と、ケアプランの作成のみを行う独立型があります。どちらを選ぶかによって、提案されるサービスの幅が変わる場合があります。
併設型は、同じ法人内のサービスとの連携が取りやすく、急な調整も動きやすいという面があります。一方で、提案される選択肢が自社のサービスに寄る可能性があるため、他の事業所のサービスも候補に入れてほしい場合は、その希望を明確に伝える必要があります。
独立型は、特定の法人のサービスに縛られずに提案しやすい立場にあります。一方で、緊急時の調整力や対応の早さは事業所ごとに差があります。
どちらが良いと一概に決められるものではありません。確認すべきなのは、他の法人のサービスも含めて提案してもらえるかどうかという点です。事業所名からは併設かどうかが分かりにくいため、問い合わせの際に「他の事業所のサービスも提案してもらえますか」と尋ねておくと判断の材料になります。
ケアマネジャーから訪問看護の依頼を受ける経路
<ある訪問看護ステーションの例>
訪問看護の依頼は、地域の居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーからいただくことが多いです。退院をきっかけに利用を始める場合は、病院の退院支援担当者や地域連携室からケアマネジャーへ相談が入り、そこから訪問看護ステーションへ依頼が来ることもあります。
ご利用者やご家族から「ケアマネジャーに紹介された事業所しか利用できないと思っていた」と言われることがあります。実際には、対応地域や24時間対応の有無、得意とする疾患、リハビリ職の在籍状況などを比べて、希望に合う事業所を選ぶことができます。迷っている場合は、希望するケアや生活上の不安をケアマネジャーへ伝え、複数の候補を紹介してもらうようお話ししています。
医療的なケアが必要な場合のケアマネジャーの選び方
医療的なケアが必要な場合、ケアマネジャー選びで重要になるのは人柄だけではなく、主治医や訪問看護と連絡を取り慣れているかという医療との連携の経験です。
確認したい点としては、次のようなものがあります。
- 看護師や保健師の資格を持つケアマネジャーかどうか
- 医療依存度の高い利用者を担当した経験があるか
- 訪問看護を組み込んだケアプランを作成した経験があるか
退院直後は体調の変化が大きく、医療職との連絡が頻繁に必要になります。ケアマネジャーがその調整を担えるかどうかが、在宅生活の安定に直結します。
また、医療保険で利用する訪問看護はケアプランの枠の外で動く場合があり、その整理ができるかどうかでも進み方が変わります。医療保険と介護保険の仕組みについては、以下も合わせてご参照ください。
訪問看護における医療保険と介護保険の違い、優先されるルールをわかりやすく解説
医療との連携に慣れているケアマネジャーの特徴
<ある訪問看護ステーションの例>
連携しやすいケアマネジャーは、医療知識の多さだけでなく、ご本人の体調や生活上の変化を早めに共有し、誰が何を担当するかを明確にしてくれる方です。看護師からの報告を主治医や他のサービス事業者へつなぎ、必要に応じてサービス担当者会議を開くなど、関係者間の情報を整理してくれる方は連携がスムーズです。
一方、対応が遅れる原因としては、主治医への連絡を誰が行うのか決まっていなかったり、主治医や受診先の情報が共有されていなかったりするケースがあります。訪問看護指示書は主治医が発行するものですが、依頼や確認の窓口が曖昧だと、訪問開始が遅れることがあります。ケアマネジャー、医療機関、訪問看護ステーションの間で、連絡先と役割を早い段階で確認しておくことが大切です。
最初の面談で何を聞けば見分けられるのか
最初の面談でケアマネジャーを見分けるには、印象で判断するのではなく、具体的な質問を投げることが有効です。
面談で尋ねるとよい質問をまとめます。
- 他の法人のサービスも提案してもらえますか
- 医療的なケアが必要な方を担当した経験はありますか
- 主治医との連絡はどのように取っていますか
- 現在何名の方を担当されていますか
- 担当者が不在のとき、連絡はどこに入れればよいですか
- 合わないと感じた場合、変更できますか
その場でどう答えるかが、その後の連絡の取りやすさの目安になります。質問に対して明確に答えられないケアマネジャーは、日常的なやり取りも同じような状況になりやすい傾向があります。
契約の前に複数の事業所と話してよく、その場で決める必要はありません。
ご家族が最初に確認しておくとよかったと話される点
<ある訪問看護ステーションの例>
訪問看護が入ったあとにご家族から「最初に聞いておけばよかった」と話されることとして、「医療的な相談にも慣れているか」「緊急時や体調が変わったときに、どのように連絡を取れるか」「本人や家族の希望をどの程度聞いてもらえるか」という点が挙がります。また、訪問看護やヘルパーについて、複数の事業所から選べることを知らなかったという方もいます。
最も多いのは、何をケアマネジャーへ相談してよいのか分からず、困りごとを抱え込んでしまうケースです。連絡の頻度や方法が合わず、「状況を伝えたつもりでも支援内容に反映されていない」と感じることもあります。担当を決める際は、資格や経験だけでなく、話しやすさや連絡の取りやすさ、希望を一緒に整理してくれるかどうかも大切な判断材料になります。
ケアマネージャーの探し方についてよくある質問
Q:ケアマネジャーは自分で選べますか。それとも決められた人が担当になるのでしょうか。
自分で選べます。市区町村や地域包括支援センターから紹介を受ける場合もありますが、紹介された事業所に必ず決めなければならないわけではありません。
Q:ケアマネジャーに依頼する際、利用者側の費用負担はありますか。
ケアプランの作成に関する費用の扱いは制度で定められています。改定もあるため、契約前に事業所または市区町村の窓口で確認してください。
Q:認定の結果が出る前から相談してもよいのでしょうか。
相談できます。申請の段階や申請前でも、地域包括支援センターで今後の見通しや手続きについて相談できるため、早めに連絡して構いません。
Q:一度決めたケアマネジャーを変えたいとき、本人に直接言わなければなりませんか。
直接伝える必要はありません。事業所の管理者や市区町村の窓口、地域包括支援センターに相談すれば、担当者の変更や事業所の変更を進められます。
Q:ケアマネジャーを変更すると、今使っているサービスも変わってしまいますか。
変わるとは限りません。今のサービスを続けたいという希望を伝えることで、同じ事業所のサービスを継続したまま引き継げる場合があります。
Q:担当のケアマネジャーと連絡がつかないことが多く、不安です。
連絡の取りやすさは事業所の体制によって差があります。改善されない場合は事業所の管理者に相談するか、変更を検討する判断材料になります。
まとめ
ケアマネジャー選びで見るべきなのは人柄だけではなく、他の法人のサービスも含めて提案してもらえるか、医療との連携に慣れているかという二つの点です。
紹介されたところにそのまま決める必要はなく、複数の事業所に問い合わせて比べたうえで判断してよいことも、あらためて覚えておいてください。
医療的なケアが必要な場合は、訪問看護ステーションを自分で調べたうえでケアマネジャーに相談するという方法もあります。どんな訪問看護ステーションがあるかを先に把握しておくことで、ケアマネジャーとの面談で具体的な希望を伝えやすくなります。
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選択肢を持ってケアマネジャーとの面談に臨むために、先に地域の訪問看護ステーションを確認しておくことが体制づくりの一歩になります。