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訪問診療と往診の違い|訪問看護を含めた在宅の役割分担までを解説

読了目安:12分

この記事でわかること

  • 訪問診療と往診を分けるのは緊急性の有無であり、訪問診療は計画にそって継続的に行われ、往診は急な体調の変化を受けてその都度行われます。
  • 在宅での療養は、訪問診療が定期的な診察を担い、訪問看護が診察と診察の間の日常を担い、往診が急変時に入るという三つの役割の組み合わせで成り立っています。
  • 急変したときに往診を呼ぶかどうかの判断は家族が単独で負うものではなく、訪問看護が入っていれば看護師に相談したうえで決められます。
  • 通院から在宅の医療に切り替える判断は、本人が通えなくなってからではなく、通院そのものが家族の負担になり始めた段階で検討されることが多くあります。

はじめに

「訪問診療と往診って、どう違うんだろう」——親の通院が難しくなってきたタイミングで、このふたつの言葉に行き当たる方は少なくありません。どちらも医師が自宅に来てくれる医療ですが、目的も仕組みも異なります。

訪問診療と往診の最も大きな違いは、あらかじめ日程を決めて定期的に行われるか、急な体調の変化を受けてその都度行われるかという点にあります。訪問診療とは、通院が難しい患者の自宅へ医師があらかじめ決めた日程で定期的に訪問し、計画にもとづいて診察や治療を続ける医療です。

この記事は、通院が難しくなってきた家族の今後を考えている、あるいは在宅医療を勧められたものの何を頼めるのか分からない、という状況にある方に向けて書いています。訪問診療と往診の違いから、訪問看護を加えた在宅での役割分担まで整理します。

なお、対応できる範囲や体制は医療機関ごとに異なり、制度にも改定があります。最終的な確認は各医療機関や自治体の窓口で行うことを前提にお読みください。

訪問診療と往診の違いはどこにあるのか

訪問診療と往診を分けるのは、緊急性の有無と訪問の計画性です。訪問診療はあらかじめ決めた計画にそって継続的に行われ、往診は急な体調の変化を受けてその都度行われます。

比較の観点訪問診療往診
訪問のタイミングあらかじめ決めた日程で定期的に行われる体調の急変など臨時の要請を受けて行われる
計画の有無診療計画にもとづいて行われる個別の状況に応じてその都度対応する
目的継続的な診察・治療・療養の管理急変時の診察・緊急の対応
事前の手続き同意書の取り交わしや診療計画の作成が必要必ずしも事前に契約関係がある必要はない
費用の考え方定期的な診察として保険が適用される臨時対応として保険が適用されるが、金額は医療機関に確認する

往診は、急変時に呼べる臨時の対応であり、それだけで療養を継続する形ではありません。日常的な医療管理の基盤となるのは訪問診療であり、往診はその補完的な位置づけになります。

また、日常会話では「往診してもらっている」と訪問診療を指して話す場面もあります。医療機関に相談する際は、定期的な訪問(訪問診療)と緊急時の臨時対応(往診)のどちらを指しているかを確認しておくとスムーズです。費用については制度の改定がありますので、具体的な金額は医療機関に直接確認してください。

訪問診療と往診と訪問看護はどう役割を分けているのか

在宅での療養は、訪問診療が定期的な診察を担い、訪問看護が診察と診察の間の日常を担い、往診が急変時に入るという三つの役割の組み合わせで成り立っています。

医師が自宅を訪問できる頻度には間隔があります。その期間の体調の観察、服薬の管理、医療的な処置を担うのが訪問看護師です。訪問看護師は日常的に状態を確認することで、体調の変化を早期に把握し、必要であれば医師につなぐ役割を担っています。

役割担い手主に関わる場面
定期的な診察・治療方針の決定訪問診療の医師定期訪問日の診察、処方、病状の評価
日常の体調観察・医療的な処置訪問看護師医師の訪問と訪問の間の日常管理
急変時の緊急診察往診の医師夜間・休日の急な体調変化への対応
生活支援・介護ヘルパー・ケアマネジャー食事・入浴・掃除などの日常生活

訪問看護の仕組みや具体的な役割については、訪問看護を専門に扱った記事もあわせてご参照ください。

訪問診療の医師と訪問看護師が役割を分けている場面

<ある訪問看護ステーションの例>

看護師が医師へ連絡を入れるのは、急な発熱や呼吸状態の悪化、意識の変化、強い痛み、食事や水分が取れない状態など、普段と明らかに違う変化が見られたときです。また緊急性が高くなくても、症状が続いている、薬の効果や副作用が疑われる、処置方法の変更が必要と考えられる場合には、観察内容を整理して医師へ報告します。

ご家族から「先生を呼ぶほどのことか分からない」と相談されたときは、体温や血圧、脈拍、呼吸状態だけでなく、表情や受け答え、食事・水分量、排尿、眠れているかなどを確認し、普段の状態と比べて判断します。看護師が訪問して状態を確認し、医師へ報告したうえで、往診や受診が必要かを相談することもできます。呼吸困難や意識障害など緊急性が高い場合は、医師への連絡を待たず、救急要請を検討します。

急変したときに往診を呼ぶかどうかの判断

急変したときに往診を呼ぶかどうかの判断は、本来ご家族が単独で負うものではありません。訪問看護が入っていれば、看護師に相談したうえで対応を決めることができます。

夜間に様子がおかしいと感じたとき、朝まで待つのか、往診を頼むのか、救急車を呼ぶのか——この判断をご家族が一人で抱えやすい状況があります。「いつもと何かが違う気がする」という感覚はあっても、判断の材料が分からないと不安が大きくなります。

24時間の連絡体制があるかどうかは、医療機関や訪問看護ステーションごとに異なります。緊急時にどこに連絡すればよいかは、サービスを始める前に必ず確認しておく項目のひとつです。

また、どのような状態になったら誰に連絡するかを、あらかじめ主治医や訪問看護師と取り決めておくことで、夜間の判断がしやすくなります。救急車を呼ぶべき状況の判断はご本人の状態によって異なるため、この事前の取り決めが特に重要です。

夜間にご家族から連絡を受けたときの対応

<ある訪問看護ステーションの例>

夜間や休日の連絡では、まず「いつから、どのような変化があるか」を伺い、意識や受け答え、呼吸の苦しさ、痛み、発熱、食事・水分、排尿などを確認します。測定できる場合は、体温や血圧、脈拍、酸素飽和度も教えていただき、普段の状態との差やご家族が見守れる状況かを踏まえて、電話での助言、看護師の緊急訪問、医師への連絡、救急要請のいずれが必要かを判断します。

往診や受診につないだのは、呼吸苦や意識の変化、強い痛み、急速な状態悪化、水分が取れない状態などが見られた場合です。一方、症状が軽く、受け答えや呼吸が安定し、水分も取れていて、ご家族が見守れる場合には、対応方法と再連絡の目安を具体的にお伝えしたうえで、朝まで様子を見ることもあります。「悪化したら連絡してください」だけでなく、どの変化があれば再度連絡するのかを共有することが、ご家族の安心につながります。

通院から在宅の医療に切り替えるタイミング

通院から在宅の医療に切り替える判断は、本人が通えなくなってからではなく、通院そのものがご家族の負担になり始めた段階で検討されることが多くあります。

次のような状況が続いていたら、在宅医療を検討するひとつのサインになります。

  • 通院の付き添いのためにご家族が仕事を休む必要が出てきた
  • 通院した日に本人が消耗して寝込んでしまう
  • 体調が悪くても、次の予約日まで我慢するようになっている
  • 受診の間隔が空き、薬が足りなくなることがある

切り替えの相談先としては、現在のかかりつけ医、地域包括支援センター、入院中であれば病院の相談室があります。

また、在宅医療に切り替えたからといって、通院をすべてやめる必要はありません。専門的な診療や検査のために外来通院を続ける形をとる場合もあります。在宅医療全体の選択基準については、在宅医療を専門に扱った記事もあわせてご参照ください。

通院の継続が難しくなったご家庭に見られた変化

<ある訪問看護ステーションの例>

在宅療養が始まる前には、歩行や移動が難しくなり、通院のたびにご本人とご家族が強く疲れてしまう状態が続いていることが多いです。受診の間隔が空く、薬が足りなくなる、体調が悪くても次の予約日まで我慢するなど、必要な医療につながりにくくなっている場合もあります。また、ご家族が仕事を休んで付き添うことに限界を感じ、相談に至るケースもあります。

訪問診療と訪問看護が始まり、定期的な診察や状態確認を自宅で受けられるようになったご家族から、「通院できなくなってから利用するものだと思っていた。もっと早く相談すればよかった」と言われたことがあります。急な変化にも相談先が明確になり、薬の管理や受診の負担が軽くなったことで、ご本人だけでなく、ご家族にも安心して過ごせる時間が増えたとおっしゃっていました。

訪問診療と往診の違いについてよくある質問

Q:訪問診療を受けていなくても、往診だけを頼むことはできますか。

医療機関によって対応が異なります。初めての患者を往診で受け入れているかは体制次第のため、地域で在宅医療に対応している医療機関に直接確認してください。

Q:訪問診療を受けると、これまでのかかりつけ医には通えなくなりますか。

通えなくなるとは限りません。主に診る医師を決めたうえで、専門的な診療のために通院を続ける形をとる場合もあります。まずはかかりつけ医に相談してください。

Q:訪問診療の対象になるのは、どのような人ですか。

通院が難しい状態にある人が対象です。歩行が困難な場合だけでなく、付き添いがなければ通院できない状態も含まれるため、判断は医師に相談してください。

Q:訪問診療と訪問看護は、両方を同時に利用できますか。

併用できます。医師による診察と、日常の体調管理や医療的な処置は役割が異なるため、多くの場合は組み合わせて利用されています。

Q:一人暮らしでも訪問診療は利用できますか。

利用できます。同居する家族がいることは条件ではありません。ただし緊急時の連絡体制をどう組むかは、契約前に相談しておく必要があります。

Q:往診を頼めば、必ず自宅に来てもらえますか。

状況によります。診療時間や体制、緊急性の判断によって対応が変わるため、どのような場合に来てもらえるのかを契約前に確認しておくと安心です。

まとめ

訪問診療と往診の違いを理解するうえで重要なのは、どちらか一方を選ぶことではなく、定期的な診察と急変時の対応と日常の観察をどう組み合わせるかという視点です。

医師の訪問には間隔が空くため、その間の日常を誰が担うのかを決めておかなければ、判断がすべてご家族に残ることになります。訪問看護が入ることで、日常の変化を早期に把握し、必要な場合は医師につなぐ流れができます。

在宅での体制を考える具体的な一歩として、住んでいるエリアや必要なケアの条件から、対応できる訪問看護ステーションを探してみることをおすすめします。

訪問診療・往診と組み合わせる訪問看護ステーション選びを「あす看マッチ」がサポートします

在宅での療養体制を整えるにあたって、地域の訪問看護ステーションを探したい方は、訪問看護検索サービス「あす看マッチ」をご活用ください。あす看マッチでは、お住まいの地域や必要なケアの条件から、ご本人やご家族にとって最適な訪問看護ステーションを簡単に検索・マッチングすることができます。

訪問診療・往診と訪問看護の三つがそろうことで、在宅での療養体制が整います。まずは地域の訪問看護ステーションを探すことが、体制づくりの入口になります。


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参考サイト

あす看マッチ編集部

執筆者: あす看マッチ編集部

あす看マッチ編集部は、在宅医療経験者および診療情報管理士の資格を保有するスタッフが在籍する、看護・介護分野の専門編集チームです。在宅医療現場の運営・管理における実務経験で培った知見をもとに、転職・キャリア・働き方に悩む看護職のみなさん、訪問看護に関わるみなさんに役立つ、正確でわかりやすい情報をお届けしています。

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