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在宅介護とは?費用や必要な準備、活用できるサービスまで徹底解説

読了目安:19分

はじめに

「突然、家族の介護が必要になった」「病院から退院後の生活をどう整えればいいかわからない」——そんな状況に直面したとき、多くの方が何から手をつければいいのか見当もつかず、不安に押しつぶされそうになるものです。

在宅介護とは、高齢者や障がいのある方が住み慣れた自宅で生活を続けながら、必要な介護や支援を受ける形のことを指します。本人が慣れ親しんだ環境で過ごせる安心感がある一方で、住環境の整備や介護保険の手続き、外部サービスの選定など、準備しておくべきことは決して少なくありません。

大切なのは、「自分たちだけで抱え込もうとしない」という姿勢です。日本には介護保険をはじめとする公的制度が整備されており、訪問介護や訪問看護など、自宅にいながら専門職のサポートを受けられるサービスも数多くあります。これらを賢く組み合わせることで、在宅介護は家族にとっても本人にとっても、より安心できる形で続けていけます。

この記事では、在宅介護の基本的な定義から、始めるための手順、費用の目安、活用できる外部サービスの種類まで、必要な知識を幅広く整理しています。「何から始めればいいかわからない」という方が、読み終えたあとに次の一歩を踏み出せるよう、できるだけわかりやすくお伝えします。

在宅介護とは?施設介護との違いとメリット・デメリット

在宅介護とは、要介護状態にある方が自宅に住み続けながら、訪問介護や訪問看護などの外部サービスや家族のサポートを受けて生活を続けることです。これに対して施設介護は、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどに入居し、24時間体制のケアを受ける形を指します。

どちらが正解というわけではなく、本人の状態や家族の状況、希望によって選択肢は変わります。まずは両者の違いを正しく把握しておきましょう。

メリット・デメリットを整理する

在宅介護のメリット

在宅介護の最大の強みは、住み慣れた自宅で暮らし続けられることです。長年過ごしてきた環境での生活は、本人にとって精神的な安定につながります。認知症のある方の場合も、慣れ親しんだ空間に身を置くことが、生活リズムの安定に寄与することがあります。

また、食事の好みや起床・就寝のリズムなど、本人のペースに合わせた生活を続けやすい点も在宅介護ならではの利点です。施設では集団生活のルールに沿う必要がありますが、在宅であれば本人の意向を尊重しやすくなります。

費用面でも、生命保険文化センターの調査によると在宅介護の月額費用の平均は5.3万円で、施設介護の平均13.8万円と比べると、経済的な負担を抑えやすい傾向にあります。

在宅介護のデメリット

一方で、家族が日常生活のサポートを担う場合、生活リズムが大きく変わることは避けられません。仕事との両立が難しくなったり、特定の家族に負担が集中したりするリスクもあります。

また、医療依存度が高い状態になると、夜間対応や緊急時の対応が必要になるケースも出てきます。こうした局面を一家族だけで乗り越えようとすることには限界があります。だからこそ、外部サービスをいかに上手に取り入れるかが、在宅介護を長く続けるための鍵になります。

施設介護との費用比較

在宅介護と施設介護では、かかる費用の構造が異なります。在宅介護では介護サービス利用料のほか、福祉用具のレンタル費・おむつ代・住宅改修費などが主な支出です。施設介護では介護サービス費に加え、居住費・食費・管理費など介護保険の対象外となる費用が多く発生します。費用面だけでなく、本人の状態や家族の生活環境を総合的に考えて判断することが大切です。

在宅介護を始めるための具体的な手順と相談先

介護が必要になったとき、「何から始めればいいかわからない」という方が多いのは当然のことです。まずは大まかな流れを把握することで、焦らず順を追って動けるようになります。

申請から認定までの流れ

ステップ1:地域包括支援センターに相談する

最初の相談窓口となるのが、各市区町村に設置されている「地域包括支援センター」です。地域包括支援センターには、医療・福祉・介護の専門家である保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが在籍しており、相談・支援は無料で利用できます。

「介護が必要かどうかまだわからない」という段階でも気軽に相談できる場所です。介護全般の不安から、どの手続きをすべきかの案内まで、幅広く対応してもらえます。お住まいの市区町村のホームページで最寄りのセンターを調べることができます。

ステップ2:要介護認定を申請する

介護保険サービスを利用するためには、市区町村の窓口で要介護認定の申請を行う必要があります。申請後は、市区町村の職員などが自宅を訪問し、心身の状況について本人や家族から聞き取り調査(認定調査)が行われます。調査内容は全国共通で定められています。

同時に、市区町村からかかりつけ医に対して主治医意見書の作成が依頼されます。かかりつけ医がいない場合は、地域包括支援センターに相談して対応を確認しましょう。

申請は本人または家族が行いますが、本人が窓口に行けない場合は家族が代理で申請することも可能です。また、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者が申請を代行できる場合もあります。

ステップ3:審査を経て認定結果を受け取る

認定調査結果と主治医意見書の一部の項目がコンピューターに入力され、全国一律の判定方法で一次判定が行われます。その後、保健・医療・福祉の専門家による介護認定審査会で二次判定が実施されます。市区町村はこの判定結果に基づき要介護度を決定し、申請者に通知します。

申請から認定結果の通知までは、原則として30日以内に行われます。認定結果は要支援1・2から要介護1〜5の7段階と、非該当に分かれており、要介護度によって利用できるサービスの種類や支給限度額が変わります。

ステップ4:ケアマネジャーを選び、ケアプランを作成する

要介護1〜5の認定を受けた方が在宅でサービスを利用する場合は、居宅介護支援事業者のケアマネジャーにケアプランの作成を依頼します。ケアプランとは、どのような介護サービスをいつ・どれだけ利用するかを決めた計画書です。

ケアマネジャーは本人や家族の意向・生活状況を丁寧にヒアリングしたうえでプランを作成します。「どんな生活を送りたいか」「どんなサポートが必要か」を遠慮なく伝えることが、より自分たちに合ったプランにつながります。ケアプランの作成費用は介護保険から全額給付されるため、利用者の自己負担はありません。

なお、要支援1・2の認定を受けた方は、地域包括支援センターの担当職員が介護予防ケアプランを作成します。

在宅介護に必要な準備と心構え

在宅介護をスムーズにスタートさせるには、環境の整備と心構えの両方が必要です。事前にできることを一つずつ整えておくことで、急な状況変化にも落ち着いて対応できるようになります。

住環境・用具の整備

住環境を整える:住宅改修のポイント

転倒や事故を防ぐために、自宅のバリアフリー化は早めに取り組みたい準備のひとつです。代表的な改修内容としては、廊下やトイレ・浴室への手すりの設置、玄関や室内の段差の解消、滑りにくい床材への変更、扉の引き戸化などが挙げられます。

介護保険では、要介護・要支援の認定を受けた方の住宅改修に対して、上限20万円までの工事に対して所定の自己負担割合(1〜3割)でサービスが受けられます。ケアマネジャーや市区町村の窓口に相談しながら、必要な改修を進めていきましょう。

福祉用具のレンタル・購入を検討する

介護用ベッドや車椅子、歩行補助具(歩行器・杖など)、床ずれ防止用具などは、購入よりもレンタルが活用しやすい場合があります。状態の変化に応じて用具を変更しやすく、コスト面でも初期費用を抑えられる点がレンタルのメリットです。

介護保険の福祉用具貸与(レンタル)の対象品目は要介護度によって異なります。どの用具がレンタルの対象になるかは、ケアマネジャーに相談して確認しましょう。

家族の体制と心構え

役割分担を家族で話し合う

在宅介護では、特定の家族に負担が集中するケースがよくあります。「誰が日常のサポートを担うか」「買い物や通院の付き添いは誰が行うか」「緊急時の連絡体制はどうするか」など、できる範囲で役割を明確にしておくことが継続的な介護を支えます。

兄弟姉妹がいる場合は、早い段階で関係者全員が集まって話し合う機会を設けることをおすすめします。介護をめぐる認識のズレは、後々の家族関係に影響することもあるため、オープンな話し合いが重要です。

最初からプロや公的サービスを頼る前提で考える

在宅介護において最も大切な心構えのひとつが、「家族だけで完結させようとしない」という姿勢です。訪問介護や訪問看護、デイサービスなどの外部サービスを積極的に取り入れることが、長期的に介護を続けるための基盤になります。

「プロに任せることへの罪悪感」を感じる方もいますが、適切なサービスを組み合わせることは本人の生活の質を高め、介護する家族にとっても持続可能な体制をつくることにつながります。最初からサービスありきで体制を組むという発想が、在宅介護をうまく進める第一歩です。

在宅介護にかかる費用と負担を抑える公的制度

費用の見通しを立てることは、在宅介護を長く続けていく上で欠かせないステップです。初期費用と月々の維持費、そして活用できる公的制度をあわせて把握しておきましょう。

費用の目安

初期費用の目安

生命保険文化センターの「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、住宅改修や介護用ベッドの購入費など一時的な費用の合計は平均47.2万円となっています。15万円未満で収まるケースが最多の24.0%である一方、200万円以上かかる家庭も4.7%存在しており、住宅改修の規模や介護用品の導入状況によって大きな差が出ます。

月々の費用の目安

同調査によると、在宅介護の月額費用の平均は5.3万円です。ただし、介護度が上がるほど必要なサービスが増え、費用も上昇する傾向があります。また、おむつ代や配食サービス、通院時の交通費など介護保険の対象外となる出費も発生するため、実際の家計負担は個々の状況によって変わります。

介護期間の平均は55ヶ月(約4年7ヶ月)という調査結果もあり、長期にわたって費用が発生することを念頭に、資金計画を立てておくことが大切です。

負担を抑える公的制度

介護保険の自己負担割合

介護保険サービスを利用した場合の自己負担割合は、所得に応じて1〜3割となっています。判定基準は合計所得金額だけでなく、年金収入やその他の所得の合計額、世帯構成なども考慮されるため、詳細はお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

要介護度ごとに1ヶ月あたりの支給限度額が定められており、限度額の範囲内でサービスを利用した場合は1〜3割の自己負担となります。支給限度額を超えてサービスを利用した場合、超過分は全額自己負担となるため、ケアマネジャーと相談しながらサービスの量を調整することが重要です。

高額介護サービス費制度

1ヶ月間に支払った介護サービスの自己負担分が、所得区分に応じた上限額を超えた場合、超えた分が払い戻される「高額介護サービス費」という制度があります。上限額は所得や世帯構成によって異なるため、詳細はお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

医療と介護の両方で費用がかさむ場合は「高額医療・高額介護合算療養費制度」も

同じ世帯内で、医療保険と介護保険の両方に高額の自己負担が生じた場合は、合算した金額が一定の限度額を超えると、超えた分が支給される制度もあります。医療費と介護費の双方が重なるご家庭では、この制度の対象になるかどうかをお住まいの市区町村に確認してみましょう。

在宅介護を支える外部サービスの種類と訪問介護・訪問看護の違い

在宅介護を長く続けるためには、外部サービスを上手に組み合わせることが重要です。サービスの種類と特徴を正しく理解しておくことで、ケアプラン作成の際にも具体的な意見を伝えやすくなります。

通所・宿泊系サービス

デイサービス(通所介護)

日帰りで施設に通い、食事・機能訓練・レクリエーションなどを受けるサービスです。本人が外出・交流できる機会になると同時に、介護者にとって日中の時間を確保できる点でも活用されています。要介護認定を受けた方が対象で、ケアプランに組み込む形で利用します。

ショートステイ(短期入所生活介護)

施設に数日〜数週間程度宿泊するサービスです。急な用事や外出の際に利用できるほか、在宅介護の体制を一時的に整え直す目的でも活用されます。利用できる日数はケアプランの中で管理されますので、ケアマネジャーに相談しながら計画的に利用しましょう。

訪問型サービス

訪問介護

訪問介護は、ホームヘルパー(介護福祉士など)が自宅を訪問し、「生活援助」と「身体介護」を提供するサービスです。生活援助では買い物・掃除・調理・洗濯などの家事を、身体介護では排泄介助や食事介助など日常動作を支える支援を行います。

要介護1〜5の認定を受けた方が利用でき(要支援の方は介護予防訪問介護として一部利用可能)、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいてサービスが提供されます。重要なのは、訪問介護では医療行為は法律上行えないという点です。薬の管理や傷の処置・点滴など医療的な対応が必要な場合は、訪問看護が担う領域となります。

訪問看護(訪問介護との違い)

訪問看護とは、医師の指示に基づき、看護師や作業療法士などの専門職が自宅を訪問し、病気や障がいのある方に医療的ケアを提供するサービスです。具体的には、点滴・注射・吸引・カテーテル管理・褥瘡(床ずれ)のケア・服薬管理・健康状態の観察・リハビリ支援などを行います。利用にあたっては、医師が作成する訪問看護指示書が必要です。

つまり、訪問介護と訪問看護の最も大きな違いは「医療行為を行うかどうか」です。日常生活のサポートには訪問介護を、医療的な処置や健康管理には訪問看護を活用するという役割分担が基本となります。

在宅での医療依存度が高い方や、持病の管理が必要な高齢者には、訪問看護の導入が在宅生活の安心感を大きく高めます。また、訪問看護と訪問介護は、利用資格があれば併用して利用することができます。ケアマネジャーに希望を伝え、医療と生活の両面からサポートを受けられるケアプランを検討してみてください。

訪問リハビリテーション

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが自宅を訪問し、機能訓練や日常生活動作の改善支援を行うサービスです。病院からの退院後や、機能低下の予防・改善を目的として利用されます。訪問看護と連携して提供されるケースも多く、在宅での生活機能の維持・向上に貢献します。

サービスを組み合わせるのが在宅介護の基本

在宅介護は、一つのサービスだけで完結するものではありません。デイサービスで社会参加の機会を作りながら、訪問介護で日常生活を支え、訪問看護で医療的なケアを補う——こうした組み合わせが、本人にとっても家族にとっても安心できる体制をつくります。ケアマネジャーと密に連携しながら、状態の変化に応じてプランを柔軟に見直していくことが大切です。

まとめ:外部サービスを賢く選択して進めるこれからの在宅介護

在宅介護を成功させる鍵は、家族だけで抱え込まず、公的制度や外部サービスを賢く組み合わせることにあります。

まずは地域包括支援センターへの相談から始め、要介護認定を取得してケアプランを立てることで、利用できるサービスの選択肢が一気に広がります。住環境の整備や家族内の役割分担も、早い段階で整えておくことで、急な状況変化にも落ち着いて対応できるようになります。

費用面では、介護保険制度の自己負担割合や高額介護サービス費制度を正しく理解しておくことで、月々の負担を想定内に収めやすくなります。また、医療依存度が高い利用者の場合、訪問看護を軸にした医療面のサポート体制を整えることが、在宅介護を長期的に安定させる重要な要素です。

訪問介護・訪問看護・デイサービスなど複数のサービスを組み合わせ、ケアマネジャーと継続的に連携しながらプランを見直し続けることが、地域の中で自分らしく暮らし続けるための体制づくりにつながります。

まずは、信頼できる訪問看護ステーションを探すことを、安心できる体制づくりの第一歩として検討してみてください。

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参考サイト

あす看マッチ編集部

執筆者: あす看マッチ編集部

あす看マッチ編集部は、在宅医療経験者および診療情報管理士の資格を保有するスタッフが在籍する、看護・介護分野の専門編集チームです。在宅医療現場の運営・管理における実務経験で培った知見をもとに、転職・キャリア・働き方に悩む看護職のみなさん、訪問看護に関わるみなさんに役立つ、正確でわかりやすい情報をお届けしています。

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